Judgment Ring 発売より1年以上が過ぎました。外部への販売促進、メディアへの露出等一切していないにもかかわらずありがたいことに日増しに問い合わせ受註は増え続けています。

 そこで Judgment Ring がどのような状況で製作されるに至ったのか...そしてどのような事情により 2nd Model 製作に至ったのか...を振り返りつつ新たなページを付け加える為に Burning Blood / 知見有士氏の依頼のもとPsychedelic Factory のホームページに設置されました。

(2007. 2008 はBurning Blood Blogをそのまま掲載しています。)

ちょっと実験。 - 2008年09月02日 -
 さて今回はアホ面髑髏はちょっとおいといてあのリングで実験してみた。

 もうけっこう前の事であるが、あるお客様が海外出張から戻った際に英国版のRolling Stone誌とESQUIRE誌を持って来店された。どちらも彼が表紙に出ていて当然あのリングも写っていた。表紙に写っていた彼の歳の取り様にも驚いたが、あのリングの変貌ぶりにも大変驚かされた。

 一昨年だろうか?同じくRolling Stone誌であったとおもうが、出演映画の主役と一緒に写っていた彼の手に光るあのリングは、そのとき既にかなりの変貌を遂げていたのだろうが、はっきりとその詳細が解る程鮮明で大きな画像ではなかったので、「かなり減ってるな」位しか思っていなかった。しかしお客様が持ってきたその両誌は画像こそ小さいものの比較的詳細が見て取れる程鮮明に写っていた。

 あいにくスキャナーを持っておらず、その画像を紹介する事が出来ないので、現在の彼のリングの状態を簡単に説明すると、もっとも変貌が激しい所は額から目の周りで、特に眉間のあたりの変形が著しい。

 本来あったはずの眉の盛り上がりはほぼすっかり無くなっているだけでなく、眉間のあたりに至っては眼窩に回り込む様に無くなっている。また、両目とも外側部分が頬骨からこめかみまで大幅にすり減ったか打ち付けられたかといった変形をしており、それらの要因のせいで相当なたれ目になってしまっている。

 歯は奥歯が左右ともに二本あるかないかというところで、鼻の下の歯の付け根のくぼみは全く残っていない。

 私が作ったJUDGMENT RINGは果たしてあのような変貌をとげるのだろうか?もちろん使用状況が違えば当然減り方も違うであろうが、削ったり叩いたりするだけで、そのように変形させる事は出来るのだろうか?というか、削ったり叩いたりしただけでそのような形にならなければいけない。個人的にどうしてもそれ検証してみたくて自分用のJUDGMENT RINGの2ndをベースに画像を参考にしながらヘビーエイジングを施してみた。以前ここではもうJUDGMENT RINGの画像は出さないと書いたのだが、結果をお知らせしたかったので今回は特別という事でご勘弁願いたい。

 展示用の通常エイジングの2ndと並べて撮ってみた。
 オリジナルの現在の画像を載せていないので、比較のしようもないであろうが、私的には満足できる結果となった。

 比較的最近の画像をお持ちの方は是非比較してみてほしい。

JUDGMENT RING 2ndについて - 2008年06月08日 -
 かねてから次回更新時にとお約束をしていた2ndの改修点についての解説をやっとさせて頂くとする。

 わざわざここで解説するまでもなく、PsychedelicFactoryにて公開されている詳細画像を見れ
ば解るとは思うのだが、制作者の視点から見た新たな考察というのもあるのであえてここでも紹介させて頂く。

 ちなみに今回は画像を作っている時間がなかったので、詳細な画像についてはPsychedelic Factoryの画像を参考に、合わせて見ながら読んで頂きたい。

 というわけで一番大きな改修点は?といいたいところだが、ほとんど全面的に改修しているので改修していった順番に行く事にする。

 まずは前頭部で、全体的になだらかな弧を描いていた1stに比べ、額の盛り上がりと側頭部に繋がるアールがきつくなっている。これはオリジナルのリングを側面から見た画像資料が手に入ったので判明した相違点を改修したもので、1stの前頭部の曲面にぴったりと合わせて曲げた2ミリ厚の地金の板をロウ付けしてから削り出して整形し、側頭部は逆に丸みを削り落とした。

 次はこめかみから弓状骨に繋がる部分で、同じく側面から見た画像を基に、不足部分を補う様に地金から削り出して作った部品をロウ付けして整形し、それに合わせて弓状骨のラインも変更した。

 次は眉間から鼻梁にかけて。ここは肉盛りは行っていないが鼻の位置を若干下に下げ、リングを上から見た時、眉の部分のアールの中央部分の盛り上がりを低くした。この修正により、上から見たときの眉、鼻,歯の位置関係がオリジナルのリングとほぼ同一になった。

 次に目であるが、これは目そのものの形を変えたと言うよりは眉からこめかみ、頬骨と鼻梁を修正した結果この形に近づいたと言ったほうがいいかもしれない。

 側面から見た画像と照合すると1stは頬骨の高さが低く、そのせいで鼻が高く見えてしまっていたので,頬骨部分に1.5ミリ厚の地金をロウ付けして貼付けてから削り出して形を整えて眉と頬骨の高さを近づけ、あまり丸みをつけずに仕上げた。

 その結果アイホールの端が顔の側面まで回り込む様になり、オリジナルと同様に上から見るとつり目、下から見るとたれ目に見える様になった。

 ここまでやってしまった時点で最初からワックス原型をもう一つ作った方が早かったかもしれないと思ったのだが、時すでに遅し。後戻りをするわけにもいかず、今回の改修で一番大変だった上顎周りの改修になるわけである。

 まず、前歯の中央と犬歯の両脇にそれぞれくさび状の切り込みをいれてからタガネを使って歯並びのアールを少しずつ修正する。

 くさび状の切り込みが密着するようになった時点でその部分をロウ付けし、歯並びのアールが滑らかになるように削り込んで整形した。その際に薄くなってしまった前歯の厚みを補う為に歯の裏側に1ミリ厚の地金をロウ付けし、歯を一本ずつ彫り直した。この時に歯の生え際の骨のくぼみも全て彫り直した。

 ちなみに歯の本数についてはオリジナルのリングに残っている奥歯のサイズと、うっすらと残っている生え際の骨のくぼみの数から割り出した本数なので、おそらくオリジナルのリングも人間の歯の本数よりも少なかったと想像される。

 最後に全体的な線と面のつながりが自然になる様に整形して2ndの原型完成となった次第である。

 さて、もうすでに現物を手にされた方もいるのでこのリングに関するJUDGMENTもそれぞれの意見があるとは思うが、それはそれとして、造形技術についてひとつだけ言いたい事がある。

 多くの造形作家が直面する難関のひとつに左右対称というものがある。

 これは利き腕や利き目、作業中にその作家が見えている範囲といった個々人の癖等の要因によって、作品の全体的なバランスが崩れてしまう事で、これを完全に克服する事は非常に困難である。しかし実はこれは造形作家として出来る限り克服しなければいけない基本中の基本で、完全に対象であるとはいえなくても出来る限りそれに近づける事が出来るようになっていなくては一流とはいえない。それが出来るか出来ないかによって左右対象のデザインでは無い物を作る時にもバランスの取れた物を作る事が出来るようになるのである。バランスを崩した物を作る事が出来るのとバランスの崩れた物しか作れないのでは全く次元が違う。

 ある造形作家の技術的なレベルを知りたければその作家が作る左右対称のデザインの作品を真正面から見ればすぐに解る。例えばそれが極端な表情付けによるディフォルメがされていない髑髏のリングだとしたら鼻を中心にした時の左右の目の大きさと位置、左右の奥歯の高さを見れば良くわかる。

 ありがあちな例を挙げると右利きで右目が利き目の作家が髑髏のリングを作った場合、髑髏を正面から見た時に左側が膨張し、右側が垂れ下がることが多い。

 このような作品を作る作家はまだまだ修行が足りないか、そのことに気づいていないかのどちらかなので、今一度自分が作った物を見直す努力が必要である。

 偉そうなことを言っておいてなんだが私自身も左右対称についてはまだまだ修行が足りないので、ちょっと気を抜くとたちまちバランスが崩れてしまう。これからもたゆまぬ努力をしていきたいと思う次第である。

 大事な事を書くのを忘れていた。JUDGMENT RING 2ndはエイジング鏡面仕上げ仕様にも裏側に通し番号を入れる事にしたので、お知らせしておく。

JUDGMENT RING 2nd - 2008年05月21日 -
 さて,大変ながらくおまたせしたJUDGMENT RING 2ndの正式発表と一般受注受付に伴い画像 を一挙大公開と言いたいところだが、あいにくこのところの殺人的な忙しさにありがたく嬉しい
悲鳴を上げながら片手間に撮った写真がそれはもう酷い有様なので、今回は取り急ぎ比較的良く
撮れた画像を出してお茶を濁す事にした。

 次回更新時に写真を取り直し、簡単な解説とともに改めて詳細な画像を公開するつもりだが、
それよりも先により鮮明な画像と一般受注受付がPsychedelic Factoryにて開始されるので、質問
問い合わせ等も合わせてそちらを参考にしていただきたい。

 なにせ今回徹夜明けの更新なので、とてもこれから写真を取り直す気力がないので,今回は
これでご容赦願う。

JUDGMENT RING 2nd(原型) - 2008年04月28日 -

 前回の更新後、画像の公開を待たずにご注文された方がおり、もうすでに10個以上の
オーダー
が入ってる。私の仕事を信頼していただけたことが大変嬉しく思うと同時に本当に感謝
の言葉も無い。未だ1stを購入されたお客様全員にお知らせが行き届いてないのだが、この
ブログをご覧になった方からも「画像を見ない事にはなんとも。」と言う、ごもっともな意見
も寄せられているので、とりあえず原型の画像を公開する事にした。

 各仕上げ仕様の画像はまた後日公開させてもらうが、1stをお持ちの方のみに限らず5月中の
納品分は5月8日で閉め切らせて頂く。

 それ以降にご注文された方は6月以降の納品となるので宜しくお願いしたい。

あのリングのその後。 - 2008年04月22日 -

 発表以来大変好評をいただいている「JUDGMENT RING」であるが、現在の仕様の物は在使用しているゴム型が使用不能になり次第販売を終了する事となった。

 とはいってもさほどゴム型が痛みやすい造形ではないのでゴム型が駄目になるのはずいぶん先の事だと思うので、それまでは今まで通り販売する。

 理由は単純で、マスター原型が消滅してしまったので、二度と型取りが出来なくなってしまったからである。

 あのリングを造り始めるまで彼のリングについてそれほど深く追求した事が無かったので、実際に制作する段階になって初めてあのリングの造形に関して自分なりに研究を重ね、現在の
「JUDGMENT RING」になり、その時点では自分でもほぼ95%位の再現度を達成したと思っていた。

 実際に購入していただいたお客様からもその出来映えに賞賛をいただいたのだが、長年探し続けていたお客様達の並々ならぬこだわりの深さを鑑みるに絶対にその期待を裏切ってはいけないと言う思いが沸き上がるのとは裏腹に、そんな深いこだわりを持ったお客様からいただいた貴重な画像を精査するうちに当初95%だと慢心していた再現度が私自身の目には日を追うごとに低下していったのである。

 これまでも度々微妙なラインの違いや造形を修正していたのだが、そんな付け焼き刃的な修正では私自身が納得がいかない。なによりもお客様に対して失礼である。

 そこでこの度「JUDGMENT RING」のマスター原型を根本的に改修することにした。それがマスター原型が消滅した原因である。

 現時点ではまだ改修中であるがおおまかなラインの修正は出来ているので、近日中には完成し、これに伴い今までの物は今後「JUDGMENT RING 1st」とさせていただくことになった。

 なぜそんな中途半端な段階でそのことを告知したのかというと、それこそが重要なことで、このリングを購入して頂いたお客様はそのほとんどが先にも述べた様に深いこだわりを持った方達である。

 そこですでに「JUDGMENT RING 1st」を購入されたお客様に限り、大変申し訳ないが無償交換というわけにはいかないが、出来る限り格安で「JUDGMENT RING 2nd」を優先的に注文を受け付ける事にした。仕上げの仕様は以前と同様、基本的に3パターンで、以前購入された物と同じ仕様でなくても結構だが、エイジング仕様の通し番号はまた最初からで先着順となる。

 画像を公表次第、通常の注文も受け付けるが、すでに「JUDGMENT RING 1st」をお持ちのお客様であれば期限を限定する事なくこの条件が適用される。

 画像公表時にも詳細に触れるが、もっと早く詳しく知りたい方はメールか電話で問い合わせられたい。 尚、近日中に各個別にも御連絡差し上げるが、現時点で「JUDGMENT RING 1st」のオーダーを頂いているお客様に関して、「JUDGMENT RING 2nd」への変更が可能であることをお伝えしておく。ただしその場合は納期が延長してしまう事を承諾願いたい。

 本当はわざわざ改修版の画像をここで紹介するつもりはなかったのだが、そんなわけで完成次第紹介させていただくことにしたので乞うご期待。