★ Deep Sulfuration 加工 について....

 Deep Sulfuration.... 質問、受註が増えてきました。DS加工とは「Burning Bloodが考案したオリジナル表面加工。」 Judgment Ring 発売時に考案された「Ageing」とは異なります。そこでBurning Blood / 知見有士氏に依頼し「DS加工についての説明。」を執筆して頂きました。

                                                Psychedelic Factory

 Deep Sulfuration.... 大層なネーミングですが簡単に言うと「深燻し」 という感じです。

 通常の鏡面仕上げでも全体的に燻し仕上げをする事は可能ですが  それだと日常的に擦れたりする部分はすぐに燻しが落ちてしまうので 表面全体に細かく深めな傷を付ける事で色落ちしにくくする仕上げの事です。


 まず、鋳造後の白い状態から一皮剥いた状態にします。この時に細かい気泡や鋳造の不良を見落とさない様に注意します。次にダイヤモンドポイントというリューターの先端工具で表面に傷を入れていきます。

 回転ツールである以上どうしても回転方向に傷が入ってしまうので、なるべくランダムな方向で細かく入れていくようにします。それでもやはり傷が入る方向性がでてしまうので エイジングでも使っているスチールブラシを使って表面を丁寧に根気良く叩き続けます。それで方向性が完全に無くなるわけではありませんが 気になる程目立たなくなります。


 次に一度ナイロンブラシで水洗いをして表面についたスチールブラシの鉄分を洗い落としてから六−10ハップを綿棒で塗るわけですが、Burning Bloodでは通常このような燻し方はしません。

 銀の硫化は硫黄の濃度と温度、時間と表面の状態によって色みが違ってきます。温度と時間の関係は六−10ハップ溶液の温度が高くなればなるほど短時間で変色し、青みがかった濃いグレーになります。変色する深度は浅いので、色落ちしやすく、逆に温度が低くなればなるほど変色に時間がかかりますが、変色する深度は深いので、色落ちもしにくくなります。この場合、色みは茶系から徐々に黒く変色していきます。時間が経つと最終的には若干青みがかってきてしまいますが、高温でやったとき程ブルーグレーにはなりません。

 Burning Bloodで行う通常の燻しは六−10ハップ溶液につける前にもう一段階ある薬品を使って表面処理を施してから約50°の六−10ハップ溶液に全体がくまなく黒くなるまでつけているのですが、DS加工でもう一段階の表面処理をせず、最初から高温でやらないのはドライヤーを使って変色の加減をコントロールする事と、最終的に茶系の色みに仕上げたいからです。

 次に真鍮ブラシでまた根気良く叩き、ちょうど良い色落ちの具合を見計らって水洗いをし、歯の部分についたブラシの叩き傷と燻しを落とし、歯とリング内側のみ鏡面に仕上げ、最後に全体的なバランスを見ながらストッキングや鹿革のクロスで磨いて完成です。

 DS加工はあくまでも全体的な燻し仕上げを比較的長持ちさせる為の方法で、いくら深めの燻しとはいえ、変色しているのは表面数ミクロン厚程度なので日常的に使用していれば徐々に燻しは擦れ落ちてしまいます。もちろんご要望があれば再加工も承りますが、全体的に鏡面仕上げをしたものとは表面の感じや燻しの残り方が違ってきますので、そう言った変化を楽しんでいただくのも面白いと思います。


※六−10ハップ 硫黄が主成分の皮膚疾患に有効な薬用塗布入浴剤。連続自殺事件の影響により国内唯一の製造元が倒産廃業に追い込まれ、現在在庫を持っている薬局等以外では入手不可。           

                    Burning Blood 知見有士